環境と身体の連動性
『季節の身体』などと言われ、日本のような四季のある土地に住んでいる人の身体は、それぞれの季節に合わせて身体もまた変化することを当たり前としていました。
人体も季節に応じて変化していました。
春は、冬の寒く乾燥した時期から気温が上昇し、湿度も上がります。
草木の開花や動物の活動が活発になりだすように、人体も緩みやすくなります。
寒さから身を守る緊張から解放され、後頭部、肩胛骨、骨盤が開き、『生殖器系』が活発に働きやすくなるのです。
ちょうど今がその時期です。
ところがどうでしょう、皆さんの中には身体が弛緩するどころか、人体の各部位が硬結している人が多数おられるのではないでしょうか?
答えは後述します。
梅雨の時期には、雨の日が増加して温度と湿度がさらに上昇します。
ジメジメした日が続くことにより、発汗により老廃物を体外へ排出しようとする身体になりやすく、肝臓や腎臓への負担が増します。
『消化器系』の時期と言われています。
夏は高温の中でも活動できる身体の働きをするために、『呼吸器系』を駆使する傾向があります。
高温で湿度も高いために水分補給の量が増え、発汗や排尿を用い体外へ毒素を排出しようとしますので、呼吸器系や泌尿器系を駆使します。
涼しさが増していく秋の時期には、栄養を蓄えようとする傾向があり、腎臓や腸の機能を駆使して排尿・排便にて老廃物を体外へ排出しようとしやすくなります。
朝夕は冷えてきますので、身体の一部を緊張させやすくなるために、身体を捻じりやすくなる時期でもあります。
冷えにより胃酸分泌に関係のある胸椎5番・6番あたりを捻じると食欲が増加しやすくなります。
冬は、秋からさらに気温が低下し、空気が乾燥します。
体温を外へ逃がさないために、身体は弛緩しようとはせず、緊張しやすくなります。
身体は活動を低下する時期であり、動かない分、目や耳の機能を用いるために『神経系』を駆使しやすくなります。
体温低下と乾燥した空気から身を守るために水分補給や目や皮膚の乾燥に注意し、過ごす時期です。
『四季の身体』について、簡単にご説明しましたが、現代人の生活様式と現在の地球環境はどうでしょうか?
今、私たちが生活している地球環境の悪化は人の手により進行しています。
それでも多くの人は季節に応じた生活様式ではなく、日照りの日や大雨の日でも関係なく毎日動き、過剰に食しています。
環境悪化と現代人の生活習慣により、空間の異常と人体の異常が互いをさらに悪化させる状態になっているのです。
身体は病み、さらに毒素を体外へ排出させようと躍起になって動き、食べ、何につけても過剰になりやすく、異常性を増す傾向にあるのが現代人です。
身体を緩めやすい時期であったにも関わらず、身体の各部位を緊張させ身を守らなければいけない人体にとって有害な空間に地球環境がなっているのです。
汚い空間で過ごせば、人体もまた汚くなります。
空間の劣化は細胞レベルで人体を劣化させるのです。
汚い空間に適応することを疑いもなく受け入れる健康観は誤りなのです。
汚れた空間を正しく感じることもなく、汚れを拒絶しない鈍い身体づくりは誤った健康法なのです。
現代人の多くは、もはや『四季の身体』などしていません。
正しい体感のある優れた身体施術者なら、それらを容易くわかる筈です。
健康で健全な心身とは、『汚い場所を汚い』『清い場所を清い』と正確に感じ、正しく反応する身体を養っている状態のことをいうのです。
これらを正しく理解することができる医師や身体施術者が増え、正しい健康観を理解した人が増加することを願います。