環太平洋経済連携協定
皆様、如何お過ごしでしょうか?
アメリカ・オクラホマ州で5日深夜、マグニチュード5.6の地震があり、その後も数十回以上の余震が観測されており、イリノイ、カンザス、アーカンソー、テネシー、テキサスの各州でも揺れを感じたようです。
未だ洪水が深刻な問題となっているタイの隣国であるカンボジアも大洪水に襲われ、先月末の政府発表では、約150万人が家屋、田畑の浸水被害を受け、247人が死亡、約23万ヘクタールの水田が収穫を見込めず、40万ヘクタールでさらに水没が続いており、道路は3000キロ以上が水によるダメージを受けているようです。
国内では,沖縄地方で昨日、マグニチュード6.8の地震があり名護市などで震度4を観測したようです。
各地で災害が続きますね。
以前にもこのブログでお伝えしております環太平洋経済連携協定(Trans Pacific Partnership)について、民主党の経済連携プロジェクトチームがTPPの交渉参加に関する提言案をまとめ、明日にも野田佳彦首相が交渉参加を表明するようですね。
TPPとは、太平洋を取り囲む9つの国(アメリカ、ペルー、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、ブルネイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム)が、関税を撤廃した貿易をすることです。
現在、TPPで交渉されている分野は全部で21分野だと言われています。
「物品関税」「原産地規則」「食品検疫」「安全規格」「貿易救済」「政府調達」「投資」「環境」「労働基準」「貿易手続き」「金融」「知的財産」「越境サービス」「商品者移動」「電気通信」「電子商取引」「制度的事項」「紛争解決」「協力」「競争政策」「横断的事項」
皆さん、ご存知でしたか?
どれだけの国民が正しい情報を政府から得ているのでしょうか?
国民へ十分な説明もないまま、交渉参加表明をするなど言語道断です。
まず大前提として、これからはさらに世界の人口増加が進み、肥えた大地、安定した食料の確保、より安全で安心のできる社会を構築することが最大の課題です。
そして、その為には、地球にこれ以上の負担をかけずに、地産地消を当たり前とする生活様式に切り替えることが急務なのです。
地球規模で競争を繰り返し、大量生産、大量消費をする社会構造はもう限界なのです。
地球の資源を横暴に搾取し続け、地球環境を破壊し続けてきたその代償として、世界各地で甚大な災害が相次いでいることが、何よりの証拠です。
そもそも「環太平洋経済連携協定」と言いますが、日本が交渉に参加すれば、実質はアメリカと日本による自由貿易がアメリカ主導で進むことになるのは火を見るより明らかです。
TPP交渉参加国と日本のGDP(国内総生産)を比較すると、アメリカが69.7%、日本が21.8%、オーストラリアが4.3%、その他7カ国(ペルー、チリ、ニュージーランド、ブルネイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム)が4.2%だと言われています。
アメリカと日本だけで90%以上になるのです。
昨年11月に横浜で開催された「アジア太平洋経済協力会議」(APEC)で、アメリカのオバマ大統領は『国家輸出戦略』を打ち出しました。
その内容は、「アメリカはアジア太平洋地域への輸出を増やすことに、アメリカは大きな機会を見い出している。今後は、どの国もアメリカへの輸出が繁栄への道だと思うべきではない。」と述べているのです。
日本はTPPに参加すると、恰も輸出が急激に増えて、景気が回復するかの如く推進派の方々や一部メディアは主張していますが、大きな間違いです。
アメリカへの輸出の最大の障害となっているのは関税ではなく、円高とドル安です。
TPP参加による関税撤廃と円高・ドル安によってもたらされるのは、アメリカからの一方的な輸入拡大です。
GDP比較から見ても日本製品の売り込み先はアメリカですが、アメリカもデフレ傾向で国内の消費は低迷しています。
「輸出倍増」を掲げるオバマ政権は、ドル安円高の為替政策を一層進めることで、自国の雇用と輸出を確保しようとしているのです。
現に米韓のFTAにより、アメリカのオバマ大統領は、アメリカの雇用が7万人増だと述べているのです。
日本がアメリカへの販売増を狙うなら、現地生産にシフトすることですが、日本の主な輸出産業は6割から8割はすでにアメリカ国内に工場を構えています。
アメリカの自動車における関税は2.5%、テレビについては5%です。
一部メディアでは、アメリカに恰も韓国ものばかりが受け入れられているかの如く放送していますが、テレビ局のスポンサー度が輸出産業会社に大きく依存していることも忘れてはいけません。
オバマ政権は農産物の輸出のほか、国有化した「AIG」など保険産業の儲け先として、金融の面でも交渉参加国で最も内需の大きい日本に目をつけるのは明らかです。
また国民皆保険制度が危機にさらされるでしょう。
他の参加国は、日本が交渉に参加すれば日本への労働力や軽工業製品の輸出を期待します。
参加国は日本の内需を狙う国々ばかりであり、日本政府が有利な交渉を出来るとは到底思えません。
百歩譲り、日本の産業にとって有利な交渉が出来たとしても、それらは決して地球を清く綺麗な社会にするためにプラスにはならないのです。
TPPへの参加がデフレの一層の深刻化を招き、他国から安価な農産物や軽工業製品、労働力が流入すれば、国内の賃金は必ず下落します。
収入減になれば、経済は低迷し、さらに国民生活は苦しくなるでしょう。
国内の賃金が下がった方が輸出産業にとっては低賃金であり、デフレの方が都合が良いのです。
輸出企業を中心とする大量生産、大量消費による経済は、格差を必ず拡大させ、大多数の国民は安心と幸せを感じ生活することは不可能なのです。
東日本大震災の被災地では現在、大震災によって破壊された農地を復旧するために懸命の作業が続けられています。
しかし、岩手県、宮城県、福島県の3県で、来年度までに営農が再開できると見込まれている農地の面積は、農林水産省の試算でわずか37%だそうです。
関税が撤廃されれば、農水省の試算によると、食料自給率は40%から13%に急落し、コメ生産の90%は破壊されると言われています。
日本政府は、昨年3月に、食料自給率を50%に引き上げる「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定しています。
TPPに参加して、食料自給率50%を実現する方法を、政府は国民にわかるように具体的に説明して頂きたいものです。
すでに日本の輸入農産物の平均関税率は12%まで下がり、EUの20%、メキシコの43%、韓国の62%、インドの124%と比較しても、日本は世界で最も「農業が開かれた国」になってしまっています。
スーパーへ行けば、季節に関係無く世界中からの食べ物があり乱立する有様です。
TPP参加の表明は、遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃、残留農薬や食品添加物の規制緩和、混合診療の全面解禁、血液製剤の輸入規制緩和、保険のきかない医療の拡大、貧富の差が医療関係にも齎されるなど、、、沢山の懸念材料があるのです。
アメリカ・ワシントン・ポスト誌とABCテレビの世論調査によると、「アメリカは誤った方向に進んでいる」との回答が74%にも上り、計80%が不満を抱いていることが報じられました。
アメリカ国民の大多数も今の社会を望んではいないのです。
政府の内部文章が明らかにされましたが、来年にアメリカ大統領選挙を控えたオバマ政権へのお土産として、日本がTPPに参加することを表明する野田佳彦首相と政権の判断は誤りです。
これ以上、地球を穢す経済主導のあり方は安心安全な生活の崩壊どころか、人類と地球危機をさらに加速させる悪行です。
このままでは、さらに地球規模での大災、人類への災いが加速するでしょう。
皆様、真剣に考えてみて下さい。
地球にとって何が大切であり、人類が歩む正しい選択とは何なのか、、、。
皆様、如何思われますか?